なぜGジャンブランドが無かったのか考える
こんにちは、ダンジョデニムの商品を企画・製造・販売している福川です。
私は「自分の理想のGジャンを作りたい」という思いから2017年に茨城県から岡山県倉敷市児島に移住し、デニム製品を作り続けています。
さて、デニムブランドは数多くあれどGジャンに特化したブランドは聞いたことがありません。少なくとも私は聞いたことがありません。もしあったら私は起業していなかったはずです。
なぜGジャンのブランドが存在してこなかったのか、実際に私がGジャンのブランドを作ってみて気付いた点を私なりの考察としてまとめてみました。
でははじめてまいります。
目次
1. Gジャンブランドがなかった理由
- 1-1. 理由①「デニムはジーンズの方が売れる」
- 1-2. 理由②「巻縫い工程が多い」
- 1-3. 理由③「季節性がある」
2. Gジャンブランドの宿命
- 2-1. 宿命①「規模拡大がしにくい」
- 2-2. 宿命②「技術継承が難しい」
3. Gジャンブランドとしてのダンジョデニムの今後
1.Gジャンブランドがなかった理由
1-1.理由①「デニムはジーンズの方が売れる」
一般的にデニムと言ったらパッと思い浮かぶのはジーンズ、Gパンですよね。アパレルショップに行っても置いてあるのはジーンズばかりでGジャンは一角に置かれているのがほとんどです。それだけジーンズの方が市場規模が大きいんです。考えてみてもしょっちゅうジーンズを履いてる人はいても毎日Gジャンを着てる人はほとんどいないはずです。ファンが多い分、売り上げも大きいため、アパレルでデニムアイテムを扱うならジーンズがメインになるのが通常です。もちろんGジャンもアイテムとして揃えるでしょうが、数が出にくいということは当然サブ的立ち位置になってしまいます。
1-2. 理由②「巻縫い工程が多い」
巻縫いというのは縫い方の一種なのですが、これはジーンズ・Gジャンに特徴的な縫い方です。特にGジャンはこの巻縫いが非常に多いアイテムです。そして巻縫いは直線縫いやオーバーと比べると多少縫うのに技術を要します。また、巻縫いは巻縫い専用のミシンが必要になります。つまり、Gジャンをたくさん縫うには巻縫いの量産ができる縫製職人と巻縫いのミシンが必要になるわけです。ですが、理由①で述べたように通常Gジャンはジーンズほどロットが多いアイテムではありません。少ないロットのために巻縫いミシンを2台、3台と揃えてさらに巻縫いができる貴重な縫製職人を2人3人と雇うというのは事業の安定性という意味からもリスクが高いです。
1-3. 理由③「季節性がある」
Gジャンを夏着てる人って見ませんよね。私くらいです。ジーンズならTシャツにジーンズの人は見かけます。年間通して一定の売り上げが見込めるのがジーンズで季節性に左右されるのがGジャン、というのが私の理解です。ただ、私くらい小規模で縫っていると、意外と夏でもGジャンは売れます。不思議ですが。
2.Gジャンブランドの宿命
Gジャンブランドとして生きていくための宿命も考察してみました。
2-1.宿命①「規模拡大がしにくい」
これは自明の理ですね。ファンが少ない市場なので規模拡大がしにくいでしょう。そしてGジャンは生地が丈夫で、かつ毎日着るわけではないので買い替え需要がそんなにありません。
2-2.宿命②「技術継承が難しい」
Gジャンを縫う上でネックになる巻縫いですが、巻縫いを任される職人は縫製工場でもそんなに多くいません。巻縫いミシン自体が工場に何台もあるわけではないので、経験を積ませられる人材も限られてきます。替えがきく人材が少ないため、いざという時は縫製工場の社長が巻縫いを担当するというのもよく聞く話です。生産が少数の個人の技量に依存してしまうというのは安定性という意味ではあまり望ましくはないです。AIやロボットの進化で巻縫い工程のハードルを下げることができたらここの問題はクリアできるかもしれませんが…。
3.Gジャンブランドとしてのダンジョデニムの今後
さてさてGジャンブランドとして立ち上げたダンジョデニムですが、今後の方針も考えてます。Gジャンはアイテムとしてはニッチな市場ですが、海外を含めて考えれば決して小さな市場ではありません。Gジャン全体の市場規模拡大は期待せずに、自分の商品を海外の人に知ってもらって購入して着てもらう。型数は大きく増やさずにサイズ展開をS,M,Lの3パターンより多くすることで海外の人の体型にも合ったものにする。こういった展開を考えています。
Gジャンブランドが見つからなかった理由の私の考察はいかがでしょうか。アパレルブランドで儲けたいというのが起点だったら、きっとGジャンブランドをやろうなんてしなかったと思います。ですが、やってみて気づいたことは競合が少ないというのは起業初心者にとっては正直助かりますし、事業規模を拡大しにくいというのも個人や少人数で回すのにちょうどいい規模感なので、私のような一人であれこれやりたいタイプの人間には向いていたのかもしれません。つくづく高校時代にGジャンに出会えたこと、そしてGジャンを好きになれたこと、Gジャンに情熱を持てたことに感謝します。